年金記録漏れ問題とは
年金記録漏れ問題とは,
・社会保険庁の年金記録データに,納付者が確定できていない(基礎年金番号に統合されていない)過去の年金記録が約5,000万件ある
・基礎年金番号に結びつかない記録が約1,430万件あり,そのうち60歳以上の約2,880万件の記録について年金の支給漏れの疑いがある
という事柄を指します。
年金記録漏れ問題は,2007年5月以降,国会の社会保険庁改革関連法案の審議中に明らかにされたことで,社会保険庁の年金記録のずさんな管理が国民の批判を受けています。また,2007年秋頃から厚生年金基金でも,全国で13万7,000人分の年金,計966億円が未払いとなっていることが判明しています。
このような年金記録漏れ問題が起こった原因としては,結婚や転職などで複数の年金番号を持っている人が多く,1974年に年金記録をオンライン化した際に,入力ミスや不備が多かったことが挙げられます。
また,1997年の基礎年金番号統一のときに,加入者または加入していた人に番号の通知はしたものの,番号の統合処理は一部の人のものしか行われませんでした。
さらに,本来バックアップデータとして重要な台帳を社会保険庁が破棄してしまっているため,確認ができないのです。これは,社会保険庁の致命的ミスと言えるでしょう。
年金記録漏れ問題において,現在特に問題になっているのは,60歳以上の約2,880万件について支給漏れの疑いがあるということ。60歳以上ということは,基本的に裁定請求が終わっている人達です。5年の時効については撤廃されましたが(国民年金のみ),もらえるべき年金をもらえずに亡くなった人が大勢いることも事実です。
これから60歳を迎え,年金の裁定請求をされる人は,請求時に支給漏れがないようしっかり確認してください。古い年金加入者証や年金手帳を持っていれば特に問題ありません。もし仮になくしてしまって番号がわからなくても,社会保険庁のコンピューターに,本人の名前(旧姓),生年月日,おおよその加入期間,勤めていた会社名,国民年金を支払った住所地などの一致するデータがあれば,加入記録を統合してもらえます。
年金記録漏れを解決するために
年金記録漏れ問題とは,公的年金の加入者が納めた保険料の記録が,社会保険庁に適切に保存されていないこと。
年金記録漏れ問題は,社会保険庁をはじめとする,国や政治家の責任です。当然のことながら,早急に正しく年金を給付する対策を打ち出し,この年金記録漏れ問題を解決することが望まれます。
年金記録漏れ問題解決のために,現在政府はどのようなことを行っているのでしょうか。
・約1億人の基礎年金番号をコンピューター上で照合
2007年6月に政府が発表した方針で,2008年5月までに,コンピューター上で,該当者不明の約5,000万件の年金記録を,約1億人の基礎年金番号と照合するとのこと。
具体的には,照合用のシステムを導入し,類似の記録を持つ人を抽出するようです。これは,データがある程度正しく入力されている場合には有効かもしれませんが,例えば,生年月日が入力されていなかったり間違っていたりすると,記録の絞り込みはきわめて困難と言えます。このプログラムが稼動できるのが1年間とのこと。その後,プログラムより抽出された受給者および被保険者に通知されるのが,2008年5月から2009年3月までというスケジュールのようです。
・<年金記録確認第三者委員会>の設立
<年金記録確認第三者委員会>とは,社会保険庁が管理する年金記録の訂正を求めている加入者・受給者について審議するための機関。本人にも領収書などの証拠がない場合,この第三者委員会が年金を支給するかどうかの総合的な判断を示します。
・年金記録問題検証委員会の設置
総務省に設置。外部有識者が今回問題化した年金記録の管理・事務処理について,経緯,原因,責任等の検証などを行います。
・ねんきん特別便
該当者不明の約5,000万件の年金記録の持ち主を探すため,過去の加入履歴を通知する<ねんきん特別便>の第1弾として30万通を発送。第2弾では18万通を発送。2008年3月までに,名寄せの結果,持ち主の可能性が高いと判明した約850万人に送付。それ以外の人にも2008年10月までに送り,約1億人の公的年金の加入者・受給者全員に届ける予定とのこと。
以上,政府もそれなりに年金記録漏れ問題の解決に向けて奔走しているようです。しかし,これまでのさまざまな施策を見ている限り,今回も多くの人が泣き寝入りになるのではないでしょうか。